本作品は寝取られです、ご注意ください。
気を抜くと久々の更新になってしまいます。
前回から急に話が進んだ感ありますが、その過程は彼女視点で……
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隣にはゆいな。俺と二人並んで、ビデオオンデマンドで適当に選んだドラマを眺めていた。
特にこだわりもなく決めたせいか、画面の中の登場人物がどれだけ真剣にやり取りをしていても、いまいち気持ちが入り込めない。
だからこそ、ゆいながぽつりと何か言えば、つられて俺も適当に茶々を入れる。深く考えずに交わすやり取りが、穏やかに時間を流していく。
けれど、ふと鼻で息を吸った拍子に、無意識に視線を横へずらした。
その瞬間、目に飛び込んできたのは、組まれた足から大きく覗く柔らかな太もも。短いトップスからはみ出たへそ、さらに大きく開いた胸元。視線が勝手に下から上へと滑っていく。まるで舐め回すように、意図せずその姿を追ってしまう。
未だ見慣れない服装。嗅ぎ慣れない香水の香り。
なのに、最後に映るのは、昔と変わらない、気の抜けた幼馴染みの横顔だった。俺だけが知る、安心しきった表情。
その姿のどうしたって、胸の奥に強烈な焦燥が広がっていく。
見慣れたはずのゆいなの中に、確実に別の影がちらついてしまう。
あの日から数週間、確実にあの女――ミカの影響がゆいなの今の姿に現れていた。
「アンタが気に食わねぇから面倒見てやろうかなーって思ってるんだよねー、ゆいなちゃんを」
「意味分かる?ケンジさんに捨てられる奴も居れば、残る奴も居るって事……オマエの嫌いな『ギャルビッチ』とかなぁ~」
「キャハハハ、そう躾けてやるよ!オマエの彼女を~アタシらみたいな扱いやすくてケンジさんのお友達にも簡単に身体を許しちゃうギャルビッチに変えてやるって言ってるの!」
あの女が言った言葉の意味を、思い知らされる。
ゆいなは、少しずつ変わっていき、俺はそれをただ見つめることしかできない。何も言えず、何もできず。
「無理だよね~♡これだけ言っても陰キャ負け犬のオマエは保身を選ぶんだろうな
だからわざわざ伝えに来たんだよー!
オマエが見て見ぬふりしてる間に、ゆいなちゃんの価値観がどんどん歪められていくの」
「その姿をずっと間近で見続けても何もできなくて、全部手遅れになって後悔するんだよな。それが負け犬っつー生き方なんだからさぁ。期待してるよ、マジ絶望しながら見てろよ負け犬♡」
元々ゆいなはファッションに興味がなかったわけじゃないし、ただ趣味が変わっただけだ……。そう思い込むことで、自分の中で落としどころを見つけ、何度も目を背けてしまう。
けれど、本当は分かっている。
俺は……ゆいなの浮気に……気付いている。
この変化が、単なる趣味の移り変わりなんかじゃないことくらい馬鹿でも分かる。
それでも、怖くて聞くことすらできない。
だってこの変化は……
「簡単だよ、簡単!今はケンジさんが積極的に口説いてると思うけどぉ、すぐに立場は逆転する。だからケンジさんに飽きられてゆいなちゃんが正気に戻る直前にアタシが色々とアドバイスしてあげるの」
「アンタへの罪悪感を感じさせる前にケンジさんに抱いてもらえる『成果』を与えてあげる。そうすりゃ簡単にアタシの描いた通りの女になる♡」
誰に気に入って欲しくて起こした変化なのか……
問いただしたらそれをゆいなは答えてしまうかもしれない。
今はまだ空想のまま押しとどめているが、聞いてしまえば現実になるかもしれない。
それだけじゃない。今もまだ、俺に隠れてケンジと会っていることも、彼女の気持ちがどれほど傾いているのかも、すべて白日の下にさらされるだろう。
――負け犬。
そんな事を思うと、あの日、ミカに吐き捨てられた言葉が、頭の中で何度も反響する。
そして俺は更に臆病に落とし込まれてしまう。
現実と向き合うだけが、こんなにも恐ろしいことだったか?
俺はただ、大事なものを強者に奪われていくのを黙って見ているだけの存在なのか。
……ダメだ。ミカはゆいなだけじゃなく、俺にまで毒を撒き散らし、思惑どおり俺を"負け犬"に仕立て上げたのだ。
「寝取らせは……もういいかな」
零れ落ちる精液をそのままに、力なく笑う。感情の高ぶりが急激に冷め、ようやく落ち着きを取り戻した俺は、やっとの思いでそう溢した。まともな拒絶でも、説得でもなく、ただ射精し、興奮が冷めてしまったことによる――そんな、最低にみっともない切り抜け方。
ゆいなは、まるで何かを確認するように俺の顔を眺めた。その視線は、俺という存在をどう処理するか考えているように見えた。けれどすぐにその考えすらどうでもよくなったかのように、すっと表情が抜け落ちる。
そして、惨めに精液をまき散らしたままの俺を見下ろしながら、ただチャンスを棒に振った事実だけを確認するように「そっかぁ、まぁ考えておいてよー」と軽く言い放ち席を立つ。
世話焼きだった彼女が、今は情けなく射精した精液をティッシュで拭うことはない。たまたま彼女の優しさに触れられなかっただけのことなのに、心臓を掴まれるように痛かった。
「……はぁ」
俺の内心と重なり、ゆいなの背中越しに、小さく漏れる息が聞こえた。肩の力の抜けた仕草。その一連の流れはたた一区切りが付き飲み物を取りに行くためだけのただの移動だった。
……ただそれだけの移動のはずなのに、ゆいなの歩みが遠ざかるほどに、彼女の身体の向きが俺から完全に逸れるほどに、俺の中にぽっかりと大きな穴が広がっていく。
カサイ屋
2025-04-04 15:03:23 +0000 UTCはな
2025-03-31 20:37:16 +0000 UTC