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コミッションss『ふたなり獣人のいる世界』(終)

「検査終わった~?」 「あぁ……ったく、面倒くせぇ作業ばっかで待たせやがって」 のしのしと待合室に戻ると、マオが立ち上がって出迎える。 あれから、アタシの性欲が落ち着くまでヤりまくった後……このまま放っておくわけににもいかず、マオも世話になった関連機関に申し出ることにした。 後天的ふたなり化現象、レアとはいえ名前がつく程度には起きているものらしいが、1日でここまで変わった俺のようなケースは前例がほぼないらしい。 それも獅子族なのも作用したらしく、ふたなりの中でもトップクラスにデカいガタイをしてるんだとか。 職員たちも最初は懐疑的な態度だったが、祖先の言い伝えやマオのことを話して、ようやく納得してくれたくらいだ。 それからは、目まぐるしく色んなことが変わっていった。 まず大学。これは辞めた。 とくに目的もなく通う意味もなくなったし、こんなカラダでキャンパスに出たら注目の的になるに決まってる。 まぁ、そこから仕事に繋がるなら考えたけど……そっちも決まったし。 細かいことは後にして、時間の大半を意味もなく取られるのは痛い。 マオが「一緒にいたい」と希望したのもデカかった。 今は住居についても2人で同棲している。 実際、先にマオがふたなりの肉体まわりについて詳しいから、俺の方は相当助かっている。 無知なふたなり獣人を1人にするのは危険ということで、形式的にはマオが監視や世話役としての役割を担っているらしい。 服も食事も住処も……あと性欲の処理も。 「この後の予定は?」 「撮影が1件と、試合形式のパフォーマンスかな。夜まではかからないと思うよ」 ふたなり化して間もないということで定期的な検査を挟みつつ、こうしてスケジュールをこなしてく毎日だ。 仕事については、まずモデルが一番多いだろう。 というか、この肉体美を求めて仕事がひっきりなしに舞い込んでくるのだ。 後天的ふたなり同士、しかもめちゃくちゃに体格のいいコンビ。 画になるのはもちろん、獣人たちからみて性的な魅力も相当なものらしい。 突如として現れた肉体と美貌、魅力は一気に人気を博すことになった。 人目を引く容姿にくわえて、その内面も。 マオが優しいのは昔からだし、俺は俺で「いい意味で獣人らしくない」と評判らしい。 実際、元男でネットでそういうエロ画像とか漁りまくってたから、興奮するポーズや振る舞いは手に取るようにわかる。 意外と、何が役立つか分からないものだ。 『本日のメイン試合……主役はもちろん、レオ、マオのふたなり獣人コンビです!』 あとは不定期に獣人の格闘技の試合とか、こういう身体が好きな奴向けのステージとか。 そもそも獣人の中でもふたなりは特筆して屈強な肉体になるし、自然と需要も生まれてくる。 アタシは特に上背と筋肉量で、勝手に最重量扱いされているし、並ぶ相手も今んところいないからパフォーマンスがメインだ。 怪我しない程度に活動するだけでも、十二分に迫力とエロさを兼ね備えた見せ場が出来上がる。 「アタシの身体、しっかり目に焼き付けろよ!」 「楽しんでいってね~♡」 適度に対戦相手をのした後は、汗にまみれた身体を見せつけるパフォーマンス。 大胸筋で胸を揺らしたり、ただえさえぶっとい腕を見せつけたり……プロレスとボディビルを組み合わせたような感じだ。 全身を強調するためのビキニ衣装、股間の方はブーメランパンツみたいなもので、ふたなりだから致し方ないのだが……。 普通にしていても胸に匹敵しそうな膨らみになるし、試合中に興奮して勃つとゴムみたいに押し上げたり、普通に出ちまうことも多い。 人間だった頃は知らない世界だったが……まぁ、こんなのが四六時中起きてちゃ放送できないわな。 そんな生活を送っていると、久しぶりに運動してみる気分にもなってくる。 それで、マオと一緒にジムにも行ってみたんだが……トレーニングに応じて筋肉はデカくなるし、お互いさらにエロくなるわ性欲も増すわでアタシ自身が驚いた。 肉体的な素質の上に努力したら、ここまで変わるのかという ハマってる自覚はあるから、まだまだ肉体を磨き上げられそうだし……次のステージは観てる奴らをイかせるくらいには仕上げてやるつもりだ。 このカラダを撮るだけ、観るだけでも価値が生まれるというのは少し不思議な気分だが……マオの身体を見てるだけでもいくらでもシコれるし、読者や観客も同じなのだろう。 このステージもアタシらの姿で興奮するために観に来てるわけだし。モデルで撮った写真なんかも含め、基本はオカズに使うんだろうしな。 ……ま、ここまで手際よく進んだのも、マオが獣人関連の色々なところに紹介してくれたからなんだけどさ。 アタシ自身もふたなり獣人の水準で頭が回るようになってきたのもあるが、それ以上にマオのお陰が大きい。 久しぶりに一緒に過ごして、昔のテンションを思い出してきたというか……本来の自分が戻ってきた感じがする。 「は~、やっと終わったな」 「そうだね、お疲れ様」 仕事も終えて、2人で一緒に帰宅する。 家も、あのアパートから引っ越した。 あの部屋じゃ狭すぎたし、いずれ周りの部屋の住人から苦情が来ただろうし。 主にセックスの声や物音、精液の匂いで。 「あ~、ほんと気疲れだけはどうしようもねぇな」 「レオ君には慣れないことばかりだからね」 床面積も天井の高さもデカい部屋、防音も含めて完璧な新居に戻って伸びをする。 適当に荷物を放り、風呂を沸かすボタンを入れてから、ドカッっとふたなり獣人用のサイズで特注したソファーに腰掛ける。 「はぁ……」 半日ぶりの落ち着ける時間を得て、一息つく。 何もせず怠惰に過ごしていた学生生活からすると、寝床で横になる行為がここまで貴重なものになるなんて夢にも思わなかった。 今は仕事のスケジュールが入りっぱなしだし、体力は保つが様変わりした生活に慣れきってはいない。 これはこれで充実してるし、昔よりずっと良いと断言できるが。 「……ありがとな、ここまでしてくれて」 一息ついたところで、改めてマオに感謝を伝える。 こいつがいなかったら、アタシは未だに腐ったまま人間としての人生をだらだらと続けていただろう。 アタシの言葉に、マオは笑みを浮かべて応じる。 「レオが助けてくれたからだよ」 一瞬、何のことだと思ったが……少年の頃のことを言っているのだろう。 当時の自分からすれば、当然のことをしたまでなんだけどな。 「ひ弱なボクも、今の私も……変わらず接してくれたから……そんなレオだから、一緒にいたい」 マオは距離を詰めつつ、おもむろに抱き締めてきた。 今はアタシの方がデカいから、顔は胸板に埋もれることなく、むしろ余裕がある。 ただ……耳元で告げられた。 「ずっと好きだった」 「……え?」 この身体になってから、大抵のことは動じないようになったんだが……流石に動揺する。 マオは言葉を探すように間を置きつつ続けた。 「助けてくれたときから、本当に好きで……でも、男だったし、そういう気持ちもうまく言葉にできなくて……」 まぁ、確かに男同士だったし、そもそも恋愛感情とか分かる年じゃなかったしな。 「ふたなりの身体になって、ようやく分かったんだ。ボクは……私は、レオを愛してたんだって」 密着した身体は、少しばかり震えている。 積もり積もった思いが溢れだして、それを受け入れてもらえるのかで緊張しているのだろう。 「ようやく成人して、レオに会えるってなって……絶対につがいにしようって」 絶対にこうなる保証はなかったけどね、と付け足すマオ。 ……やっぱ、アタシの部屋に突然やってきたときから狙ってたのか。 ずっと引っ張ってた気弱な少年が、とんでもないこと仕掛けてきやがったな。 (まぁ、悪い気はしねえけどさ) 別人みたいな筋肉とちんぽと性欲で、生活も様変わりしたけど、自分にとって大事なものは何も変わってないはずだ。 アタシは少しばかり呆れたように笑みを浮かべつつ、お返しにマオの身体を抱き返す。 「……お前がいなくなってから、抜け殻みたいな日々だったよ」 結局、学生だった頃のアタシは暗闇の中にいたのだろう。 自分が求めていたものすら分からず、周りのせいにしながら、ダラダラと無為に過ごしていた。 「こんな世界、何のために生きるのかも分からなくて……でも今は違う」 そんな無味乾燥な所から、アタシを引きずりだしてくれたのもマオだった。 もう、腕の中にあるこの温もりを手放したくない。 だから……アタシにできる精一杯の答えを紡ぐ。 「アタシも、マオのために生きるよ」 マオは、少し涙目のまま、昔と変わらない笑顔を浮かべた。 『~♪』 マオが落ち着いて少し経ち、風呂が湧いたメロディーが流れる。 さぁ入るか……と切り替えようとしたところで、ふと、ひとつの疑問が湧いた。 「……てか、普通にアタシら付き合ってるんじゃねぇか?」 毎日のようにヤりまくってるし、同棲してるし……。 確かになし崩しではあったけど、この状態からアタシがどっかいく流れが想像つかない。 告白するのが悪いとは思わねえけど、あんなに緊張して言うことだっただろうか? 「えっと、その、こうなる所まではイメージしてたんだけど……」 マオは少し言いにくそうにしつつ、ぽつぽつと本音を口にする。 「レオがライオンになるってのは予想外で……急に不安になったというか……」 意味がよく分からず、ライオンの生態を思い返す。 群れで生活をするのが基本で、1頭の雄を中心に多数の雌がいるもので── 「……あぁ、ハーレムか」 ようやく納得した。 要するに、アタシが他の女と関係を持つのを懸念してたわけだ。 ふたなりの性欲や精力はものすごいし、「そういうケース」もゼロではないのだろう。 もちろん、そんな展開になればマオの心中は複雑なものになる。 「そのカラダと雄の象徴があったら、他の子を口説いたら大抵は成功すると思うよ?」 ……確かに、言われてみれば心当たりはあった。 観客や関係者の亜人たちの中には、色目を使ってるのが丸わかりな奴もいる。 アタシの強さとか、雄としての魅力に惹かれてるんだろう。 本能的な部分は仕方ないし、それが仕事に繋がってるんだから有難くはあるんだが。 「んなもん作んねぇよ。普通に人間だし」 ただまぁ……人間だった頃を思い出すと、他の獣人たちに食指は動かなかった。 実際、種族の差なんて、どうでもよかったんだろう。 ただ、マオに惹かれていた。それだけだ。 「そのぶん、性欲はお前に受け止めてもらうけどな」 「え?……きゃっ!?」 がしっとマオの方を掴んで押し倒す。 今はアタシの方がデカいし力もあるから、その気になればマウントを取れる。 案外気分がいいし、マオが捕食者の貌をしてたのも納得できる。 めちゃくちゃ気分が良いし、何より……愉しい。 ソファーの下側でこちらを見上げながら、珍しく動揺しているマオ。 「その、汗が……」 「お互いさまだし、別にいいだろ?」 可愛く恥ずかしがっているマオだが、こっちは興奮が高まっていくばかりだ。 むしろ、マオの匂いが濃くて興奮してんだよ。 風呂は後でもいいだろ。日付変わるかもしんねぇけど。 「絶対に逃がさねぇから。覚悟しろよ」 「……うん♡」 人生のピークがあるとすれば、間違いなく今……いや、それも正確じゃねえか。 最高値を更新し続けていくだろう。 これからも、マオと一緒に。 (了)


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