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連続更新第29回


※長文です 興味ある方だけ読んでください



先日、自分が以前から困っていたことがあり

もう自分だけではどうしようもなくなってしまいTwitterで助けを求めました。



そのツイートがこちら



https://twitter.com/mahoone/status/1680928937529184258



自分のこんなタワゴトのような悩みに対し

予想以上に大きな反応があり、多くの漫画家さん、絵描きさん等同業の方から

様々なアドバイスや、あたたかいメッセージ、自分も苦手だけどこうしているよ!

などのヒントを教えてくれ

自分の悩みの解消に大きく前進しました。




実は、前々から本当にペン入れが嫌で嫌で仕方ありませんでした。


これはヤラせてくれる先輩を書くのが嫌とか愛着が無いとかではなく

漫画を書くという工程の中で『ペン入れ』だけが

圧倒的に苦痛に感じるという状態でした。


自分の漫画制作工程を大雑把に説明すると


・ネタ出し

・プロット(ページ割)

・ネーム

・下書き

・コマ割、フキダシ

・写植

・書き文字

・ペン入れ


—背景

—彩色


・仕上げ

・見直し、加筆修正


完成!


という流れになります


背景と彩色は自分ではなく一緒に仕事をしている仲間がやってくれているので

自分の仕事は実質ペン入れまでなんですけど

この漫画を書くという工程において自分の最後の仕事であるペン入れが

実はどうしても前向きに取り組めませんでした。


このツイートをしていた段階では

ただ嫌だとしか書かれていないように

何が嫌なのかすら言語化出来ない状態でした。


上記の工程でいうと、実はペン入れまでの工程はあっという間に終わります

ネタ出しからペン入れ直前までの工程はほぼ悩むこと無く

スラスラと進み、そして、ペン入れに入った瞬間嘘のようにピタッと筆が止まってしまう……

今までずっとそんな感じでした。


正直、ペン入れ自体が苦痛というよりも

ペン入れの作業に取り掛かること自体が苦痛という感じでした。


うまく説明できるか難しいのですが

ペン入れの技術が不足しているから嫌だという苦手意識も

無いわけではないんですけど

それでももう10年以上は漫画だけ描いて暮らしているので

少なくとも作業自体はさすがにある程度こなれています。


ですので単にペン入れをやるというだけであれば

そんなに思い悩むようなことではないはずでした。

どちらかというと、なぜこんなことをしているのか?という

作業そのものへの疑問というか、退屈感、不服感がありました。

本当に謎でした。


ペン入れに入った段階で急に

机に向かうことすら億劫になるレベルでとてつもないやりたくなさが発生し

文字通り作業をバックレて外にフラフラ出かけたりゲームをやったり

なんとか作業に取り掛かっても全く集中力が続かず

1〜2時間もしたらもう限界が来てしまっていました。



このツイートをする以前に自分で単にやる気が無いとかモチベが低いとか

作品作りに飽きてしまったのか?等様々な原因を検証してきましたし

ネットを見すぎて集中力が散漫になっているのか?とか

不規則な生活や不摂生によって脳が働いてないのか?

もしかして性欲無くなって枯れてきた?


というか何にせよペン入れをやらないことで

自分より後ろの作業がどんどん遅れてしまいますし

何よりも自分の作品を待っている読者の方やファンの方に申し訳ないと思わないのか?


など本当に様々な方向で自分を追い立てて

本当に自分の中でできることは全部やってきたつもりでした。



しかし、毎回『ペン入れだけ』これが発生することが不思議でした。


もし性欲が枯れて創作意欲が減退しているのであれば

躓くポイントはペン入れではなくプロットやネームなど

ネタ出し段階のはずで

衰えなどで線が上手く引けなくなったとしても

線を引くこと自体はやろうという意思があるはずですし


なんならそういった物理的な障害の場合は

ペン入れを他の方にお願いしたりするなどいくらでも対策することはできます


ですが、自分は作品を描き始めたにもかかわらず

ペン入れで完全に作業が止まり、そこからうだうだ毎回1〜2ヶ月吹き飛ばして

スケジュール的にこれ以上遅れたらまずいという段階になってようやくノロノロ動き出して

なんとかペン入れを終わらせる……という形になっていました。

ですがその際のストレスが凄まじく、過食や浪費など

毎度まぁまぁ発狂してしまっていました。


ですが、もちろんこんな状態はよくありませんし

何より自分は毎回楽しく創作する気満々で

心の底から創作活動が大好きですし、自分の作った作品を

1日でも早く、1作品でも多くお届けしたいという気持ちです


なのでこのペン入れだけが苦痛という状態を

一刻も早く解決したかった。


しかし自分だけではもう試行錯誤も限界だったため

Twitterで助けを求める形で、広くアドバイスを求めたという流れになります。


そして、予想以上の反響があり、本当に多くの作家さんやクリエイターさんから

様々なアドバイスをもらって、ようやく自分が


『なぜペン入れが嫌なのか』を言語化することに成功しました



前置きが長くなってしまいましたが



自分がペン入れが嫌だと感じていた理由を一言でいうと


『作業』になっていたからということがわかりました。

リプライでも、ペン入れは作業だから苦痛…と言っている人がたくさんおり

自分もその類型なのかな…?というふうに考えていました。

そして原因を探っていった結果

その原因はヤラせてくれる先輩のフルカラー化にありました。


自分は他の多くの漫画家さんと同様

モノクロで漫画を描いてきました。

更に言うなら以前はアナログで、証券用インクにGペンや丸ペンで、

B4のケント紙に原稿を描いていました。(隣のマコちゃんの時など)


自分は物心ついたときから絵を描くのが好きで

小学校高学年、中学1年の頃にはもう将来は漫画家になりたいと思い

漫画家になるためだけに生きてきました。


そして、ヤラせてくれる先輩の1話目を書いていた2021年の4月まで

ずっとモノクロ・グレースケールで漫画を書いてきました。


しかし、『続・ヤラせてくれる先輩』を描く段階になって

様々なことを考慮した結果、

ここから先はフルカラーで描こう!フルカラーでやりたい!という考えに至り

1話目もフルカラーアップデートし、『』からは皆様も知っての通り

ずっとフルカラーで制作を続けています。これからもそれは変わらず

少なくともFANZA同人等DL同人界で活動し続ける限り

フルカラー漫画を書き続けるつもりでした。



しかし、モノクロ漫画とフルカラー漫画では当然画面上の勝手が異なります。



よくある、モノクロ漫画の上から直接色を置いて無理やりフルカラーにした漫画がありますが

私は正直あれがあまり好きではなく、

自分がフルカラーで描くなら別の手法を取りたいと考えていました。


しかし、自分もこれまでモノクロでしか漫画を書いたことがなかったため

そのままのやり方でカラーにしても、同じような形になることは明らかでした。


フルカラーにはフルカラーのやり方や、最適化があると考え

1と続の間で絵柄や線画の書き方、塗り方などを全てフルモデルチェンジしました。


これが、結果的には大成功し、以降ヤラせてくれる先輩のヒットに繋がったと考えています。

それ自体は良かったのですが


自分はこのフルカラー最適化によって

今まで培ってきた

『漫画を描く』という行為の面白さ、線を引く楽しさのようなものを

全て捨ててきてしまったことに気付いていませんでした。



現在も創作活動自体が面白いことには変わりないのですが


自分の中で『創作活動』と表現媒体としての『漫画を描く』という行動は

どうやら別物だったようで


プロットやネームなどの『何を描くか』の部分は創作活動として

コレまで通り継続出来てきたのですが


『漫画を描く』という行為の本質はどうやら

ペン入れやベタ、ハッチングによる質感や陰影など


『線画の魅力を追求する』ということにある事を忘れてしまっていました。

これは、漫画家の原画展などに行けば明らかで

谷口ジロー先生・平野耕太先生・あずまきよひこ先生など

モノクロ漫画の原画展や画集などに目を通せば明らかで

漫画というものは、お話と絵と両方あって初めて漫画であり

どちらか片方を蔑ろにすることはあってはならなかったのです。

(原作と作画に分かれている場合、

それぞれがリソースを片方に全力を注いでいるためこの話では除外します)


それにより自分の中で『創作活動』は良くて下書きまでで完了し


線画は、あくまでも塗りにバトンタッチするための下地でしかなくなっていました。


それをツイートに寄せられたリプライや引用RT、いただいたDMなどで

思い出すことが出来ました。


フルカラーの場合、線画を突き詰めすぎると塗りをあっさりにせざるを得ず

そうした場合、上記にあるようなモノクロ漫画を無理やりフルカラーにしたような画面になり

これは美しいとは言えません。


モノクロにはモノクロの、フルカラーにはフルカラーの良さがあり

それぞれ最適化するべきなので、

フルカラー漫画を描く場合現状のやり方で間違っているとは思いません。

たくさんの人に喜んでもらえているし、やりがいも感じます。これからも頑張っていくつもりです。


しかし自分個人の感覚として、『線画を描く』『絵を描く』楽しさを失ってしまっていた事、それに気付けていなかった事は痛恨であり

頭で理解出来ていなくても身体が拒否反応でシグナルを出していたのだと今では思います。


自分は、自分が納得したことしか出来ません。


漫画を描くだけでなく、日常や人生のあらゆることにおいて

自分が心から求めていること、納得していることしか出来ません。


ですので、自分は創作活動をする上での理想


全ての工程が楽しく、または苦痛ではなく、それに作った作品が一人でも多くの人に喜んでもらえるモノになっている

当然自分もその作品を気に入っている、全てが満たされた状態を目指しています。

それが最も美しいと考えており

創作活動をしていく上で死ぬまでその理想を追求したいと考えています。


困難であることにはいくらでも耐えられます。

しかし苦痛、特に理不尽や、納得していないことには1日も耐えられません。


自分が納得していることであれば、

どんな困難でも乗り越える気合はあるつもりです。



ですので、ここまでわかったのであればあとは単純で

じゃあペン入れの工程もフルカラーに最適化した上で

自分が納得の行くような線画を目指せばいいんじゃない???


コトはそれで終わるはずでした。



え……終わってないの!?


自分でもそう思いました。



なぜなら、ここまでわかったはずだったのに


なぜか、描けなかったのです。


これには自分も本当に焦りました。


ここまで長々と書いてきて、まだ何か原因があるのか!?

と本当にもうどうしていいかわからなくなりました。



ですが、今日本当の理由に気付きました。



上にも書きましたが、自分は幼い頃から漫画家を夢見て

漫画家を目指して頑張って来ました。


しかし、私はおそらくもう5年以上自分を『漫画家』とは名乗っていません。

厳密にはどこかで漫画家と表記したり、名刺等に漫画家と書いていたかもしれませんが


自覚として自分が漫画家だとは微塵も思っていません。

Twitterのプロフィールでも

FANZAなどで同人エロ漫画をDL販売しているよ。

と書いています。



私は現在自分を『漫画が描けるだけの人』というふうに認識しています。


『プロの漫画家』などとはとてもではないですが言えませんし思ってもいません。


しかしこれこそが『本当のやりたくなさ』だったことに今日やっと気が付きました。


そう、私は『漫画家』ではないのだから

その認識のままで行くと『漫画を書く理由』など無いのです。


本当に本音を言ってしまうと

強いて言えば『描けるから』という理由だけでいま漫画を書いています。


なので、嫌だと思ったら容赦なく逃げ出せてしまっていたのです。


頭ではどんなに、作品を作るのが楽しい

作ったものを見てもらいたいと思っていても


漫画家』ではない自分の考えや思いなど、紙のように軽いです。


何があっても締め切りを守る、プロとして最前線で活躍したい

もっと上を目指したい!多くの人に読まれたい!などという

プライドや向上心、誇りのようなものを微塵も持ち合わせていません。


漫画家を目指していたはずの自分が

いつの間にか『漫画が描けるだけの人』になってしまっていました。


これまでの経験や蓄積があるから

ある程度理屈や技術で乗り越えられてきたに過ぎず


そういったものを取り払ってしまった自分は笑えるくらい空っぽで


プロとしてバリバリやっている他の作家さん達よりも


散歩中に見かけた家族連れや、河原でBBQをを楽しんでいる人たちに

憧れを抱いていました。

これまで漫画や創作だけをやってきた自分の人生に疑問を抱いていたからです。

他の幸せもあるんじゃないか?・・・と。


ペン入れの工程に入った瞬間、いつもそれは訪れます。


漫画なんて書いてる場合では無いのでは?


今すぐ家を出て、このいい天気、自然、人間関係を大事にするべきでは?

おしゃれな服を着たりして、行きたい場所へ行き、

限りある人生時間を謳歌するべきでは!?


毎回そのような思いに取り憑かれ、山へ行ったり川へ行ったり

そういったいわゆる『豊かな時間・丁寧な暮らし』への渇望を満たし


しかし、描きかけの漫画を放置してしまっていることに罪悪感を覚え

1日1〜2時間くらいはなんとかやってみたりする……そんな過ごし方をしていました。


しかし、私はそんな過ごし方を全く望んでいません。

なぜなら、その時間は全て嘘だからです。

直前まで創作活動を心から楽しめていたのに『ペン入れ』の時だけ急にそう思うのですから間違いありません。

他の工程でそういった思いが募ったことは

ヤラせてくれる先輩を描き始めてからはほぼありません。


何をやっても自分は結局漫画を描く面白さには勝てないんです。

いつもそうでした。どんなゲームにハマっても、どんな趣味にハマっても

どこへ行って誰と何をしていても、結局最後には漫画を描くこと、

創作活動をすることに戻ってきてしまいます。



自分には、漫画を描く以外の人生はあり得ないんです。

この先ずっと、創作活動をしていく人生しか無いんです。



であれば、それはもう『漫画家』として生きるしか無いということなのではないか?


子供の頃夢に見た漫画家を、今から改めてもう一度目指すべきではないか?


漫画家』として活動しながらでも、BBQでも旅行でも何でもできる


でも、まず『漫画家』として生きなければ


ほんとうの意味で自分の人生を幸せに豊かにすることも出来ないし

自分の作品を世に出し続ける事も出来ない


漫画を描くことも、旅行やBBQをしたりすることも、どちらも自分のやりたいことには違いない。


しかし、『普段BBQしてるけどたまに漫画描く人』では

幸せになれない、満足出来ない


プロの漫画家として活動していて、たまにBBQをしている

の順番でないとダメなんです。



ですので、本当に長々と書いてしまいましたが

結論としては


『漫画家』としてしか生きられないのに

それを目指す、“そう在る”『覚悟』が足りなかったから……という話になります。

お恥ずかしい話ですがこれがおそらく本当の原因だし本音だと感じています。


漫画家を目指すのならば、ペン入れするのに納得もクソもありませんし

ペン入れなんてやって当たり前です。仮に苦手だったり出来なかったりしても

何が何でもできるように工夫すればいいだけですし

そのプロセスも楽しめるはずです。少なくとも自分はそうでありたいです。

上に書いたように物理的に描けなければプロとして他人に委ねるべきなんです。


しかしこれら全て『漫画家としてやっていく覚悟』あっての事です。


馬を水辺に連れてくることは出来ても、水を飲ませる事はできない……

なんてことわざがあるらしいですが


私はこれまでの慣性と理性で自分を漫画を描く環境に持って行っていましたが

私の感情がそれに納得せず、覚悟も無ければ、漫画なんて描けるはずがありません。



漫画家ではない、漫画が描けるだけの人をこれまで応援してくださった方

こんな自分で本当に申し訳ありませんでした。


この記事をもってそれを辞め、

改めて『漫画家』を目指していきたいと思います。


この悩みで気付いた事と、

宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』を見て思ったことを

合体させた結論がこれです。

今日から再び、プロの漫画家を目指します。


本当に皆様申し訳ありませんでした。


これから頑張って行きますので、

よかったらぜひ、これからも応援してください。

ちゃんとした漫画家を目指します。なります。


皆様の期待に応えられるよう全力を尽くし、

そして自分も心から創作を楽しみ、向き合っていきます。

そしてたまに息抜きも楽しみます。



ここまで読んでくださった方本当にありがとうございます。

1から頑張ります。



連続更新第29回

Comments

フルカラーは続けます!高めていく!

ありがとうございます!頑張ります!

楽しく創作する!

ありがとうございます!1から頑張ります!

途中でフルカラーやめます、みたいな流れかな〜と読んでる最中少し不安になりましたが 結論まで見て安心と応援したくなる気持ちが湧きました。 自己肯定していきましょう!

拝読して、考えの深さにとても感銘を受けました。 自分の想いをここまで言語化されているのは、とてもすごいと感動しました。 これからも応援していますー

うちうみ

本当に傍から眺めるだけの感想なんですが、先生の真面目さはすごく感じましたし、先生が自分なりの答えを見つけたのは嬉しく思います。応援します

モーガン

更新お疲れ様です! 自身の嫌いな事の言語化とアプローチの試行錯誤…興味深いな…と思ってました…! これからもずっと応援してます!より良い創作ライフと先生の作品を追わせてください!

しげ氏


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