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matsuri7103
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長野、姥捨神社(序)

 本件に言及する前に、まずは事の発端となった都市伝説について記載する。  「23:55の最終便バス」  件の都市伝説は、流布するなかで上記の名称で呼ばれるようになった。  流布のきっかけとなったSNS投稿文を下記に抜粋する。 ● >先日起こった不思議な体験を話す。 私の趣味は登山で、週末には日帰りで近隣の山に登りに行っているんだけど、慣れた頃ほど…というか、ペース配分ミスって帰りが遅くなってしまった。下山する頃には他の登山者は誰も見当たらなかったし、暗い山の中を歩くのは山好きでも怖いものがあった。 (続き)山を下りて登山口のバス停まで辿り着いた時には、もう20時を過ぎてた。バスの最終便は19:05だから、完全に詰んだと思った。バス停から駅までは歩くと距離があるし、登山で疲れ切ってこれ以上は歩きたくなかった。 外灯もほとんど無い暗い道を歩くのは、おばけ的にも交通事故的な意味でも怖かった。だから朝が来るまでバス停で夜を明かすことにした。リュックの中には遭難した時用の非常食も入れていたし、飲み物はバス停の横に自販機があるし、トイレも歩いてすぐ近くに設置されてるから心配ない。 バス停付近は外灯の光で明るかったし、時期的に虫もそんなにいないからまあいいやって思えたの。さすがに野宿で眠る勇気はなかったから、6:30始発のバスが来るまで、夜通し起きてようと決めた。 携帯食食べたり、電池消耗しない程度にスマホいじったりして暇つぶししてたら、ふと車が走る音が聞こえて咄嗟に身構えた。こんな夜中に山道を走る車ってなんだろうって警戒した。自意識過剰に思われるかもしれないけど、変な男の集団とかだったら怖いなって思って、咄嗟にバス停のベンチの裏に隠れた。 ヘッドライトの強い光に照らされて、思わず眩しくて目を閉じた。と同時に、まずいって思った。なぜなら、すぐ真横で停車するエンジン音が聞こえたから。ヤバイ見つかったって思って目を開けたら、まさかのバスだった。朝に乗ったバスと同じデザインの車体が、バス停に停まっている。 独特な大きな音を立ててドアが開いた。普通だったら最終便をとっくに過ぎているのになんでだろうとか気になるはずなんだけど、朝まで暇つぶしするのも飽きたし、さっき一瞬でも怖い思いをしたから、私は藁にも縋る気持ちでバスに飛び乗った。 「これ、乗れますか!?」って運転手さんに聞いたら、「○×駅まで行きますよ」って答えてくれた。本当に、助かったーって泣き叫びたいくらい安心した。時間的に当然なんだけど、私以外は誰も乗っていなかった。 駅に無事着いたけど、駅の終電もとっくになくなっていた。けれどこれは想定済み。だってあのバスに乗ったのが深夜0時のちょっと前で(確か23:55だった)、この時点で駅の終電も終わってたから。 タクシーで家まで帰るのと、駅前のホテルに泊まるのとでお財布と相談して、断然泊まるほうが安かったから、ホテルに一泊して次の朝、家に帰った。ペース配分は本当に大事だなって教訓になったよ。無理そうなら途中で下山する!これ大事!! あのバスには本当に助かった。バス停の時刻表は古いままだったけど、もしかして便が増えたのかと思って駅に置いてある時刻表を持って帰った。でも、それを見たけどやっぱりあのバスの最終便は19:05だったんだよね。あの日はたまたま遅くまで走っていたのかな。 わざわざ問い合わせるほどのことでもないからよく分からないままだけど、こういうこともあるんだと思ったからここで呟いてみた。おわり。 ●  以上がネット上で確認できた最初の体験談である。投稿のコメント欄を見ると、投稿者が乗った登山口バス停の場所も把握できた。  場所は丸瓶山、バス停は「丸瓶山登山口前」とのことだ。  この「本来なら走っていないはずのバスに乗った」という体験は、一種の異界体験として人々の関心を得て、SNSを中心に広まっている。しかしながら、場所が登山口ということもあって日常的に関わる場所ではないことから、実証しようとする者は少ない。  以下に報告するのが本件の主題となる怪奇現象だ。  その現象は、「23:55の最終便バス」について実証実験をしようとした者が偶発的に体験したことである。  体験者が個人で運営しているブログ(登山についての記録が中心)に体験談が書かれているため、該当記事を下記に抜粋する。 ● >ここからは、山を下りた後の余談的なお話になります。 せっかく丸瓶山に登ったので、ちょっと前にネットで話題になっていた「23:55の最終便バス」について検証してみようと思いました。 ホラー?なのかな、おばけが出てくる話じゃないけど、よく分からないオチなので、そういうのがダメな人は注意です。 「23:55の最終便バス」については知っている人もいると思いますが、既に最終便も終わっている深夜にバスが来て、それに乗って無事に帰れたというお話。時刻表を調べてみて、そんな時間にバスが走っていないことを改めて確認するんだけど、結局どういうことなのか曖昧なまま終わってる。そのバスが来た時刻が23:55だったからこの名前が付いているらしいです。 このブログでも色々紹介してきたけど、僕は一人キャンプには慣れているし、バス停で夜を明かすくらい大丈夫だと思って、売店で軽食とった後にバス停に行って「23:55の最終便バス」が来るのかどうか実験してみようと思いました。 来たら面白いし、来ないなら来ないで良いかなって思って。というか気持ち的には来ないだろうって予想のほうが大きかったです。 念のために書きますが、あらかじめ野宿を想定して装備は万全にしていました。慣れていない人や準備が不十分な人、特に女性は大変危険なので絶対真似はしないでください。 話に戻りますが、予想に反してバスは来ました。時計を見たら、23:55ジャスト。 まさか本当に来るとは思わなかったから驚いたけど、最初に乗った人も無事駅まで着いたそうなので、大丈夫だろうと思って僕も乗り込むことにしたんです。 時間帯の問題もあるのか、僕以外の乗車客はいませんでした。 せっかくなので一番前の座席に座って、運転手に話しかけてみました。 こんな時間でも走っているんですねとか、そんなことを聞いたら「これが最終便なんですよ。間に合ってよかったですね」と言われました。 感じのいい運転手ということもあって、僕はさらに突っ込んで聞いてみることにしました。 「でもここって確か夜の7時が最終じゃなかったでしたっけ?」って。 そうしたら運転手は、このバスはいつもこの時間に運行していると、不思議そうな感じで言っていました。 バスの時刻表だけが更新されていないだけかも…というところで話が落ち着いた頃、バスがゆっくりと停車しました。僕は停車ボタンを押していないので、なんだろうと思って正面を見ると、「姥捨神社前」と電子板にバス停名が表示されていて、おじさんが一人乗車してきたのがミラー越しに見えました。パッと見ただけですが、普段着だったので登山者ではないようでした。場所的に山からはだいぶ下りているので登山客以外の人がいても変なことではないのですが、時間帯もあって、どういう人がどこから乗ったのか気になってしまい、ガラス越しに外を覗き込みました。 暗くてほとんど様子は分からなかったけれど、小さなお社が杉林の奥に見えました。 あれが姥捨神社だろうかと思いました。聞いたことのない神社でしたが、この山に登ったのもこの日で2回目ですし、前回は駅に着くまで寝ていたので詳しくなくても当然かと思って、このときは流しました。 それからバスは駅前に無事到着して、駅前のネカフェで爆睡して朝になって帰宅しました。 あれからバスについて調べてみたけれど、やはり最終便は19:05とのことでした(バス会社に問い合わせてみた)。 それと、バス停名に「姥捨神社前」というものはなく、ウェブマップで確認してもそういう名前の神社は無かったんです。 あの辺りに「囲井戸神社(かこいどじんじゃ)」という名前の神社はあったのですが、読み間違うにしては全然字がかすっていなくて無理があるでしょう。 オチのない話だけれど、なかなか無い体験をしたので忘れないうちに書くことにしました。 ●  上記のブログ記事の通り、丸瓶山から栗ヶ原駅までのバス運行ルートにあるのは「囲井戸神社」であり、「姥捨神社」という神社は存在しない。八百白館の資料からも確認することができない神社であるため、記事を書いた者の勘違いとも考えられる。  しかし、「姥捨神社」という名前で検索をすると1件のみヒットした。 「ウェブ版みんなの大辞典>姥捨神社」 https://ja.ele-dictionary.one/eddia/%E7%86%9A%E9%87%8E%E7%A5%9E  個人が自由にページを追加できる投稿型インターネット百科事典だが、出典曖昧のために要検討記事扱いとなっている。コピー不可文章であるため、URLを直接記載する。 内容は、神社の成り立ちや場所について触れており、地図上では囲井戸神社と道路を挟んだ対角の位置に建っていることが記載されている。 だが前述の通り、その場所に社は存在しない。  実在しない神社についての目撃情報とWeb記事が存在していることから、裏神祇事務局にて取り扱う案件であると報告する。 (破)に続く

長野、姥捨神社(序)

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