吐く息も白く、凍りそうな冬の深夜
空腹の胃袋が何かを入れろ、入れろと喘いでおり
ここは一つガッツリと重いものを腹に一発ぶちこんでやらねば
この衝動はきっと収まらないだろう。
そんな気にさせる程、四万十川は腹が減っていた。
そういえば去年の暮れ、松屋のビーフシチュー定食を
食べに行った時どこの店舗も売り切れ続出で
苦汁をなめさせられた記憶のあった私は先日
松屋の横を通った際ビーフシチューの立て看板がかけられていたことを思い出した。
遂に、遂にか。
去年の12月、毎度券売機で食券を買う毎に
ビーフシチューのメニューへ貼り付けられた売り切れの文字
あの雪辱を果たす時がやっと来たのだ。
そうと決まればもう私の脳は松屋のビーフシチュー一色に染まる
松屋までの寒い道のりも、あの温かいシチューを彩るための演出とも思えてくる。
券売機で何を買おうか悩んでいるおっさんにもイライラせず
鼻歌や口笛まで吹ける程心は躍っていた。
店へ入る前シュクメルリの立看板が入り口に立てられていたが見なかった事にはした。
ちんたらしていたおっさんが私に、すみませんのニュアンスを含んでるであろう会釈をしてきたが松屋のビーフシチューをこれから食える私には些末な事だ。20分くらいかけてメニューを選んでも今は許せる。
が
そんな私に突きつけられた現実がトップ画像の写真だった。
私は今年35歳になる立派な中年男性だがその時ばかりは
店員に当てつけでビーフシチュー無いんですか?と5回程聞きたくなった
26回程同じ質問をして無言で店から逃げ出し車で税務署に自爆特攻する未来も考えたが中年のプライドがそれを許してはくれず
大人しく他のメニューで我慢をすることにした…
そういえばこの新商品ネットで絶賛するツイートも多かったな…
ビーフシチュー一択だったからもう何食っても一緒だし
ツイッター民信じてこのシュクメルリ鍋食うか…
そんな後ろめたい気持ちのままシュクメルリの野菜セットを注文する。
ジョージア料理と表記されたこのシュクメルリ鍋
どんな料理なのか一切想像がつかないし
ジョージアってどこだよ、缶コーヒーかよと頭の中で考えていると
程なくしてすぐに料理は運ばれてきた。
ぐつぐつと煮込まれたチーズとホワイトソースの中に
松屋お得意のごろごろチキン、さつまいもが入れられた鍋が私の前に現れる
にんにくの匂いが中々に強烈だったがにんにくは大好物なので
むしろ望むところだ。
いい匂いに少しだけ気を良くし、味はどんなものかと
口にチキンを運ぶが……
熱い
熱い
熱すぎだろこれ
ふーふーと息でなんとかこの灼熱の鳥を冷まそうとはするが
熱せられたチーズがそれを許してくれない。
なにより食事が冷めないように鍋の下には火が焚いてあるのも更に性質が悪い。
ご飯がすすむ!といった謳い文句を松屋は言っていたが
ご飯がすすむもなにもこの熱さは尋常じゃないんだよ。
俺何かやっちゃいました?って言いたくなるくらい熱いんだよ。
ご飯がすすむじゃなくてご飯しか食えねえよコレ。
そうだ、サラダが付いているのだからサラダと味噌汁を片付けてから
鍋に移ろう。そんなプランを考えサラダと味噌汁を味わう
鍋に手を付ける
やっぱり熱すぎだろコレ。
あまりにも鳥やら芋が熱くて口にいれても味わう事が出来ない。
火もしばらく消えそうにない。
私は店員を呼び、ある呪文を唱える。
「スンマセン、火トメテモラッテイイデスカ」
あまりにも無感情に、だが確実にこの状況を止めるための言葉を
私は伝えた。さっきのちんたらしてたおっさんや数人の客が一斉に私の方を振り向く。あれ、俺また何かやっちゃいました??
うるせえ火を止めるくらいでこっち見んな。熱いんだよこの鍋。
鍋を冷ました後、やっとシュクメルリの味を堪能することが
出来ましたけどチーズ乗っけったただの鶏肉ですねコレ。
チーズが焦げた部分は確かに美味しかったんですけど、こういうご飯に合わせるおかずにさつまいもを入れるの正直…うーんと言った感想です。
それでも甘くないさつまいもをチョイスしてた点は評価したいですが。
はっきり言ってコレ出すくらいならビーフシチューをそのまま続けて
欲しい出来なので多分一生注文することはなさそうです。
結構昔から言い続けていますが、松屋のデミグラス系のソースの味はその辺の洋食屋で高い金出すよりも遥かにコスパがいい味だと思っていますから松屋さんにはそっち方面で頑張っていただきたいなぁなんて考えながらブラウンソースハンバーグを食いにこれから松屋に行ってきます。